『 永遠のゼロ』
職場の好々爺(…というには、まだ若い)から勧められた一冊。バリバリの理数人間だけど、通勤の電車内ではいつも本を読んでいるのだとか。映画にもなった話題作だし、戦時中の話だし…気乗りしなかったけれど、先輩の顔を立てるつもりでお借りした。
ところが!
姉弟が亡き祖父を取材していく中で見えてくる、当時の軍隊の、文字通り命がけの日々の重厚なリアリティ。そして、祖父は臆病者だったのか?天才飛行機乗りだったのか?と、取材と共に読み進め、人物像を紐解いていくと、主人公・宮部の強い想いが鮮烈に浮き上がってくる。
ラストが哀しい。勇ましいけど哀しい。
宮部の想いを受け継いだ戦友たちの、戦後の行動も切ない。特にやくざ者の陰ながら…助けるのがいい。
現代に生きる私たちは、こういう強い想いを、果たして持つことができるだろうか。約束など、簡単に反故にし合っているかもしれない。自省の意味も含めて、そう思いつつ、羨ましく思いつつ、感涙。