『 中原の虹』
湘南の風で夕涼みしながら、ごろごろ読書。そんな私の心の中に吹いているのは、満州の草原を吹き抜ける一陣の風。
響くのは、馬賊の強者・李春雷が悲しい過去を背負った銀花に伝える、不器用で優しい力強い愛情のこもった言葉。
「 俺はこの手で、百人の人間を殺してきた。他人の命なら惜しくはねえか。だったら、俺はこの手で、おふくろと、歩くこともできねえ兄貴と、弟と、よちよち歩きの妹を棄てた。芋蔓も育たねえ荒野にうっちゃってきたんだ。この手で殺したも同じこった。
そんなにガキが恋しけりゃ、もういっぺん俺が産ましてやる。五人でも十人でも産ましてやる。俺はガキが好きだから、まちがったって殺しやしねえ。それでよかろう。
忘了、忘了、忘一切了!要忘得一干二浄!
何もかも、みんな忘れちまえ」
春雷は銀花を引き起こすと、上衣の懐にくるみこんだ。
あうう。。。かっこよすぎて脳髄破裂。心臓もじーんと痺れてしまって、止まりそうである。
ああ、こんな男に出会いたい!などと、陳腐な言葉を書き連ねるよりは、このまま浅田次郎の描く、清朝末期の満蒙の世界に埋没していよう。
日々の筋トレも頑張って、夏の終わりの乗馬合宿では、馬や友人に迷惑がかからないようにしておこう。ホントに馬に乗れるようになったら、いつか、張作霖や李春雷が駆け抜けた、かの地で馬を走らせてみたい。
心ときめく素敵なものは、
まだまだ沢山あるんだから!