帰省
新幹線あさまに身を預けて、読書をしていても、ふっと意識が飛んで、現実界の色々な思いが顔を出す。ささくれ立った気分もまだ潜んでいて、油断している私の足を引っ張ろうとする。
しかし、いつの間にか緑が増え、山の形や青々とした稲田の様子から、そこがもう信州に入っていると分かった。不思議なことに、先ほどまで密かにせめぎ合っていた、とげとげした気持ちは消え失せて、傷つけられたことも嘘も裏切りも、どうでもいいことのように感じていた。
故郷っていいなぁ。空気の粒子がきれいなのかな。
理由はどうあれ、かさぶたの下でぐじゅぐじゅしていた患部がみるみると癒されていく。不思議だ。でも、ありがたいこと。
お盆では中学時代の同級生たちとご飯を食べて、楽しかった。再婚間近の幸せ者がいたり、主婦だったり、共働きだったり、独身の経営者だったり、色々。でもみんな頑張っているのはおんなじなので、励まされる。
写真は3年前の松代温泉。全然観光地化されていなくて、時代劇にも使えそうなくらい、古めかしい。でも、お湯がとってもいいのは確かで、また、行きたい。